きむらの随想:グローバルスタンダードを足かせから利器に変えるコツ

 ONLINEの統括編集長・木村雅彦が日々考えていることをお伝えしていきます。ADJUSTERという英単語と世界との距離感について考えてみました。

横文字があふれるのに、なぜだか世界はミョーに遠い

この原稿をフランス出張からの帰国便の中で書いています。今回の渡航目的は、フランス製の英語版ソフトウェアをCloud上の仮想稼働環境(Iass)へ構築し、日本国内のお客様がシステムサービス(Saas型)提供を受けて、自社業務に利用するという今風のITプロジェクトへの支援です。ここまで書くだけで、なんとアルファベット略語とカタカナ混じりが多いことでしょう。

最近は、進捗報告もProgress reportやStatus Report等と呼ばれ、ことITの業界では、日本語が死滅し続けているように思われます。さらにIT業界で使われている日本語は「流量制限のパラメーター設定が●×…(同時アクセスとセッション数の制限値の意味らしい)」などという意味不明な表現となることが多く、SI事業者が作成した仕様書やシステム運用チェックシートに見ることができます。現実には、このような言葉は、ごく一部の専門家と称する人間しか、その目的となる意味を理解できないのではないでしょうか? 以前からアルファベット3文字や4文字での略称が世間を賑わせ、一般生活ですら短くすることが是であるかのように風聞されています。

私には、日本全体で何割のコンピュータに関わる仕事をしている方々が同じ意味で使っているのかどうも怪しい感じを拭い去ることができませんし、海外では通じない「略語」が多く存在します。

日本での「有識者」や「専門家」の語源は、海外では哲学者や優秀な職人を指すケースが多いのに比べて、日本では頭でっかちな最新情報量(質ではありません。)だけの尺度に依存して専門家として遇しているように感じます。笑い話ですが…キーボード一つとっても日本語、英語、フランス語等、国や言語地域によって配列が変わります。手元のコンソールで作業している時は、違和感を感じないことですが、リモート接続による操作の場合(特にリモートデスクトップと呼ばれる画面転送での遠隔接続)、ログオン後に悲劇が始まります。今回もフランス語で作られたソフトが英語にコンバートされ、当然英語OSで稼働する環境へアクセスした場合、アプリケーションの初期設定がフランスキーボードになっているともうダメです。(笑)

その点に気づかない場合…SEさんは、延々とマニュアルや手順書、構成情報を見直して同じことを繰り返し、最後に「障害」と判定して障害対応をベンダーに求めます。すると当然のように「正常」との回答が来て、日本側は紛糾する事態に陥ります。先方はフランスキーボードで使用していますから当然、アプリケーションは正常な応答をします。

地の利を生かしてグローバルスタンダードを利用してやろう

私にはこのような思い込みによって起きた事柄からも、まずは全体を俯瞰してみること、次にシステムの構成内容を的確に把握すること、そして最後に、想像的な思考(「なぜ?」) ができること…この3点がますますITの世界で活躍するADJUSTERへ求められているのではないかと思います。

まず、俯瞰して事態をみるためには、お客様のシステムを利用する目的や稼働できなくなった時に事業に与える影響を把握する必要があります。次に代替策が必要になります。最善の状態に近づけるための最適な代替策を捻り出すためには、稼働環境や機器の構造や設定情報、動作ソフトウェア含めた構成情報を的確に理解する必要があります。この代替策があれば、現実的な提案を想像的な思考(創造ではありません。)から導き出せます。

ADJUSTERという職種には、世代を超え、知識だけではなく、一緒に汗をかいて問題解決するための知恵が求められているのではないかと思います。

フランスの桜も日本の桜とは違いますが、桜=グローバルスタンダードであることには変わらず、世界中で皆を和ませてくれます。昨年の写真ですが…。

ITの世界のみならずグローバルスタンダードという概念の元で、世界中で同じコンピュータやモバイル端末が使われてはいますが、その利用形態はその地域に応じた特徴や差異があります。それはごく当然のことであり、事業の規模に関わらずADJUSTERが提供するシステムやサービスは、人が使いやすいもの、使う人の身の丈に合ったシステムやサービスが基本でなくてはいけません。

その意味では、東京に集約された最新情報が最善であるとするがごとき姿は、グローバルスタンダードから見れば単なる地域特性にしか過ぎません。それは、東京も西海岸もヨーロッパも同じ地域特性(差異)です。

ADJUSTERは、故障修理から小学校での教員や生徒へのITサポート支援、商店のPOSレジスター保守まで全国に幅広く存在しますから、分業化が進んだ東京ではできない、その幅広の能力可能性を訴求し、お客様に理解していただくことを忘れてはなりません。

同時に、Cloud技術やCloudの利用方法、仮想化技術とその運用技術等を体系化して知識取得することは、時代の要請です。ただし、その利点のみならず危うさも踏まえ理解し咀嚼した上で現業に活用することが重要です。自分たちが、グローバルスタンダードを最適解として追いかけるのではなく、どのようにグローバルスタンダードを取り込み、利活用するのかを考えていきたいと思います。

 

木村雅彦
ITアドバイザリー/ADJUSTER ONLINE統括編集長
欧米で約15年間にわたり自動車産業、通信分野でのIT活用スキルを取得。帰国後、ITベンダーやシンクタンク、弁護士法人でのIT 新技術の実用化と事業化支援、IPデータ通信を利用したBIGデータ分析モデルの検証、社会人向けビジネススクール講師として戦略的ITマーケティングと市場統計分析へのIT活用を体系化。現在は航空機の飛行データ解析を支援している。

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