スマホネイティブの10代から見る「パソコン」とは

生徒や学生のITトレンドに精通するライター・鈴木朋子が、ティーンエイジャーの目線でICTの今を伝えます。

パソコンの利用率は10代でも6割に達する

皆さんはスマートフォンをお持ちですか? スティーブ・ジョブズが米国で初代のiPhoneを発表したのが、2007年。日本では翌年より発売が開始されたので、スマートフォンが国内で販売されて10年目を迎えます。

初めてiPhoneを見たときは「こんなに大きな携帯電話が日本に普及するのか」「一般の人がインターネットを日常的に使うのか」など、様々な疑問を抱きましたが、私に先見の明がなかっただけのようですね。今や街中や電車内でスマートフォンをのぞき込んでいるのは、当たり前の光景になっています。

総務省が発表した「平成29年度 情報通信白書」によると、個人のスマートフォン保有率は2011年に14.6%でしたが、2016年には56.8%と5年間で4倍に上昇しているそうです。「意外と保有率が低い」と感じる方もいるかもしれませんが、これは13才~80才以上全体の調査だからでしょう。若年層だけを見ると、2016年で20代が94.2%、13~19才が81.4%の保有率ですので、全体と比較するとかなり開きがあります。

パソコンとスマートフォンの利用率についてはどうでしょうか。同調査の「インターネット利用機器の状況」によると、最新データである2016年でスマートフォンよりパソコンの利用率が高いのは、50代以上の年代になっています。つまり、49才までの年齢では、スマートフォンの所持者はスマートフォンをメインに利用しているのですね。パソコンの利用率を年代別に注目してみても、19才までが62%、40~49才までが73%と、若い年代が低いものの、それほど乖離しているわけではありません。若年層のスマートフォン保有率は高いのですが、スマートフォンとパソコンの利用率に関しては世代にそれほど差はないようです。

「パソコンが何をするものかわからない」

このようにデータを見ると「若者のパソコン離れ」という現象は見て取れませんが、私が取材で会った女子高生たちは「パソコンが何をするものかわからない」と言います。

10代の彼らは、幼い頃からインターネットが身近にありました。携帯ゲーム機や通信教育用タブレット、親のパソコンなどで、デジタル機器がインターネットに繋がることはごく当たり前に感じています。

10代といっても14才と19才ではデジタル機器の体験は大きく異なるのですが、おおまかな感じでは、小学校低学年でキッズケータイ、小学校高学年か中学生で携帯電話、もしくはスマートフォンを自分専用に持っています。スマートフォンデビューのきっかけは、中学入学がもっとも多いとのデータもあります。

友人や家族との連絡はLINE、画像加工はアプリ、調べ物はTwitterやInstagramなどのSNSで検索している中高生にとって、パソコンは必要なものなのか、疑問に感じるようです。

前述の女子高生たちは、「DVDを見るためにパソコンを使う」と言っていました。しかし、「DVDプレーヤーがあれば見られるよね」との意見が出て、やはりパソコンはいらないのではという結論になりました。

また、「部活で使うからWordで文書を作らなければいけない」と言っていた女子高生は、「パソコンのキーボード入力が苦手。スマホで打った方が早い」と、iPhoneで文章を作成してパソコンに転送し、Wordに貼り付けて印刷していました。スマートフォンにもWordアプリはありますが、文字入力さえカバーできればいいと考えたようです。

とはいえ、大学生になれば、講義のレポート作成などにパソコンが必要になります。NECパーソナルコンピュータが2017年2月に公表したデータによると、自分専用のノートPCを持っている大学1年生~3年生は64.2%に上ります。ところが、同じ年代でPCスキル(Word、Excel、PowerPointなどの資料作成スキル)について尋ねたところ、「PCスキルが必要だと思うが、自信はない」と答えた学生が73.2%いたそうです。

幼い頃からインターネットを活用し、スマートフォンのアプリを駆使するスマホネイティブ世代ですが、高校卒業を機にパソコンを習得せねばならなくなり、そのスキルに自信がないと感じているのですね。

スマートフォンとそのサービスの進化で、パソコンでなければできないことが減少しているのは確かです。ビジネスマンが出先でも仕事を滞りなく進められるようになったのは、スマートフォンのおかげといっても過言ではないでしょう。

ただし、スマートフォンは「情報を見る」「情報を処理する」ことには向いていますが、「モノを作る」となるとパソコンの使い勝手にはかないません。デバイスを臨機応変に使い分けられるスキルが身につけられるように、IT教育の環境が整うといいですね。

 

鈴木朋子
ITライター
システムインテグレーターにしてOS開発を担当するシステムエンジニア出身のITライター。スマホやSNS、10代のIT事情に関する記事を得意とする。近著は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)。All About(オールアバウト)iPhone・SNSガイドも務める。

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