なつかしのパソコンがズラリ
近代科学資料館に行こう!

近代科学資料館とは

パソコン整備士の皆さんはもちろん、パソコン好きの方、数学をはじめとしたに興味がある方にオススメの施設があります。の近代科学資料館です。

近代科学資料館は、東京理科大学の創立110周年を記念して平成3年11月に建設されました。今日のを築き上げた先人の歩みを回顧し、科学技術の恩恵を感じてもらうことを目的としており、一般の方々も展示を見ることができます。

Photo Katsumi Hirabayashi
建物は、東京理科大学の前身・東京物理学校校舎を復元したもの

コレクションは日本トップの規模

常設展は「計算機の歴史」、「録音技術の歴史」、「東京物理学校から東京理科大学へ」の三本柱で構成されています。なかでも、パソコン整備士の皆さんにとって興味深いのは「計算機の歴史」でしょう。

「計算機の歴史」は、東京理科大学元教員の故・内山昭や大学関係者の協により、さまざまな国と時代の「計算」に関するものが展示されています。その中には、国内外のなつかしいパソコンも並べられています。コレクションは日本トップの規模を誇り、計算機の歴史を幅広く理解することができます。

ショーケースには、そろばん、計算尺、機械式計算機、電子式計算機がズラリ。また、その傍らには、国立科学博物館から貸与された「パスカルの計算機(パスカリーヌ)」(1642年)や、「ライプニッツの計算機」(1673年)、「バベイジの階差機関」(1820年)、「ホレリスのパンチカードシステム」(1887年)のレプリカも展示されています。そのほか、微分方程式を解くために考案された「Bush式アナログ微分解析機」、「FACOM201 パラメトロン電子計算機」、数千本の真空管を使用した「UNIVAC120」など、一般社団法人情報処理学会の情報処理技術遺産に認定されている貴重な大型計算機も見ることができます。

Photo Katsumi Hirabayashi
貴重な大型計算機

いやはやすごい。大型計算機は部屋の壁一面を覆うほどの大きさ。こんなに大がかりな機械を考え、創り出した人の頭脳と情熱に、驚嘆しつつ敬意を抱きます。

今やパソコンやスマートフォン()を一人1台持つのが当たり前ですが、ここに至るまでには、古来より先人たちが積み重ねてきた科学の探求があったのです。物言わぬ展示品の数々が、そのことを語りかけてくるようです。

パソコン史に名を刻む名品たち

さらに進むと、電子素子の発達を示す真空管、トランジスタ、それらを集めた集積回路が展示されています。そして、初期から現在に至るマイクロプロセッサーの発展の歴史へと続きます。キヤノン、カシオ、ソニー、東芝、三洋電機(現)といったおなじみのメーカーの電卓が紹介されたあとは、いよいよパソコンの登場です。

Photo Katsumi Hirabayashi
Photo Katsumi Hirabayashi

並べられているのは、私たちの生活や仕事のシーンを彩ってきた、パソコンの歴史に名を刻む名品たちです。

コンピュータ社の「AppleⅡ」(1977年)、NECの「NEC PC-8001」(1979年)、日立製作所の「ベーシックマスター レベル2」(1979年)、富士通の「FUJITSU MICRO8」(1981年)、ソニーの「MSX2 HB-F1」(1986年)、そしてアップルコンピュータ社の「Macintosh(512K)」(1984年)や「iMac」(1998年)などなど。

 

パソコン整備士の皆さんの中には、実際に使っていた方、あるいは整備したことがある方もいるかもしれません。今、私たちが使っているパソコンやスマホに比べると格段に大きく、その割にディスプレイが小さく、処理速度も遅かったはずですが、当時はこれらが最先端の製品でした。メーカー各社が開発に力を注ぎ、市場で競い、ユーザーや整備士である私たちが使うことで、洗練、淘汰されて今日に至っています。なつかしの製品たちを見れば、パソコンの形や機能の変遷が、人間の生活や仕事の変遷と重なっていることが感じられるでしょう。

Photo Katsumi Hirabayashi
Photo Katsumi Hirabayashi

                           

 

 

 

 

 

 

最後はコンピュータゲームの展示です。ここまで来ると、若い方にも記憶に新しい製品が多数ありますね。

そこは、機械と科学のタイムトンネル

いかがでしたでしょうか。を生業とする筆者は歴史や博物館や資料館にはよく足を運んでいますが、このたび古今東西の計算機と国内外のパソコンを見て、人類の飽くなき探究心と科学の奥深さを感じました。

近代科学資料館は、機械と科学のタイムトンネル。パソコンや機械、数学や計算に興味のある方なら、きっと感動とともに多くのものを得られます。2019年3月30日をもってリニューアルのため休館となりますので、足を運んでみたい方はお早めに!(計算機コレクションは同大学野田キャンパスに移転予定)

Photo Katsumi Hirabayashi 

■東京理科大学 近代科学資料館
162-8601 東京都新宿区神楽坂1-3
TEL 03-5228-8224
開館時間 10:00~16:00
休館日  日曜・月曜・祝日・大学の休業日
ホームページ https://www.tus.ac.jp/info/setubi/museum/

画像提供 東京理科大学近代科学資料館

澤村耕次(さわむら・こうじ)
映画製作、CMシナリオ制作、タウン誌の編集などに従事した後ライターで十数年の経験。現在も年間300本の取材、80万字の執筆をこなす。会社案内、広報誌、社内報、採用パンフ、社史などの媒体で執筆し、企画立案や編集も兼務。対応業種は、金融、不動産、建設、鉄道、小売などで、経営者インタビューから職場取材、社員取材まで幅広く手掛ける。また編集業務では作家や学者、証券アナリスト、料理研究家、コピーライターなどを担当。

 

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