プログラミング教育に悩む教育現場の実情

画像提供:株式会社ミマモルメ

小学校のプログラミング教育必修化を来春に控え、一部の教育現場では混乱しているという話を聞く。子どもたちと向き合う現場の教育者は、プログラミング教育に対して何を悩んでいるのか。

プログラミングの出張授業を通じて現場の様子を第三者目線から見つめてきた、ロボットプラグラミング
教室「プログラボ」の担当者に話を伺った。

 

「プログラム言語を教える」と誤認している先生も


「どの教科でどう活用するかを考える『時間がない』、パソコンなどの機器に詳しい人が『現場にいない』、予算がなくてタブレット端末などの『機器が間に合わない』といった声を、現場の先生方からよく聞きます」と話すのは、関西を中心にロボットプラグラミング教室「プログラボ」を運営する株式会社ミマモルメ教育事業部の勝山裕子氏だ。

とりわけ、時間に関する悩みが多いという。

株式会社ミマモルメ 教育事業部 勝山裕子氏

プログラミング教育は単一教科として設けられるわけではなく、現場の教師が国語や算数など通常の授業内に取り入れていく必要がある。ただでさえ忙しいのに、プログラミング教育を自前で準備しなければならない教師からすれば、負担が増えるだけではないかと危惧する声が挙がるのは当然かもしれない。

 

 

 

東京地下鉄株式会社 経営企画本部 岡佑輔氏

また、プログラボ目黒校で教室長を務める東京地下鉄株式会社の岡佑輔氏は、プログラミング教育に対する誤解があることも指摘する。

「先生方のなかには、『プログラム言語を教えなければいけない』と思われている方もいらっしゃるようです」

2020年度に実施される学習指導要領改訂の目的は、プログラミングそのものを教えることより、子どもたちの考える力を養うことを柱に据えている。それを岡氏が伝えると、安心される教育者もいるようだ。

 

時間がない!スキルがない!機材がない!を解消するには


教育者が抱くこうした課題の受け皿の一つとして注目を集めているのが、プログラミング教室など民間団体が実施する「出張授業」だ。

プログラボでも、近隣の小学校に訪問して出張授業を実施している。関西では100校以上の公立小学校に訪問、また関東では渋谷区すべての公立小学校で放課後学童の一環としてプログラミング教室を行うなど、積極的に取り組んでいる。

出張授業でも、教室と同様、ロボット製作とプログラミング教室を併用して開講。ロボットを組み立てたり、タブレット端末にインストールされたプログラミング専用のアプリケーションを使ったりしながら、モノづくりのしくみやプログラミングの楽しさを伝えている。直感的でわかりやすい教材のため、初めて扱う子でも容易に操作できるそうだ。

「ロボットを作る、プログラミングするということが初めてのお子さんからは、『楽しかった』という声をよくいただきます。なかには他のプログラミング教室に通っているお子さんもいるのですが、出張授業を通して『不明点がわかるようになった』と満足している子もいますね(岡氏)」

▲出張授業では、ロボットの製作やタブレット端末を用いたプログラミングを伝えている。

 

子どもたちに「協働」の大切さも教える


プログラボの出張授業で教えていることは、プログラミングそのものではない。大切なことは、大人になって必要とされる「他者との協働」だと勝山氏は語る。

「今回の学習指導要領改訂において最も大切なのは、知識や技能に偏った学校教育ではなく、思考力や判断力、表現力を養いながら多様な他者と協働できる人材を育てることだと認識しています。このため出張授業では、2人1組になって参加していただき、ロボットの組み立てやプログラミングなどを通じて、多様な他者と協働しながらこれらの力を育める授業の提供に努めています」

出張授業を見た教師のなかには、子どもたちがコミュニケーション力を駆使し仲間と協力し合う姿を見て感動する方も多いという。

授業内容は、学校の要望にも応えてくれるそうだ。例えば、理科ならロボットに使われているエンジンとモーターの違いをわかりやすく教えるといった授業を実施したり、社会ならロボットを外に出して周囲の障害物を感知しながら目的地を目指したりする授業も実施している。

「単に出張授業に来てほしいというより、学校個々の課題を解決するために弊社をご利用いただいているというところが多いですね。自前でカリキュラムを考えたり、ロボットのような機材を購入してメンテナンスをしたりといった先生方の負担を考えると、私たちに任せた方がよいとご判断くださる小学校もあります(勝山氏)」。

 

不安を抱え込まず外部の力を頼るのも一手


それでもやはり、プログラミング教育に対してハードルを感じる教育者も多い。それは、自分たちが学生時代にはなかったという不安も、少なからずあるようだ。

「プログラミングに触れたことがない先生方からすれば、『何となく難しそう』というイメージがあると思います。それを『こんな簡単にできるんだ』と伝えられたら、不安をぬぐえるのではないかと思います(岡氏)」

現場の教師が抱く不安を払拭するため、プログラボでは教育委員会と連携し、授業のサポートなどにも取り組んでいる。例えば、大阪府交野市の教育委員会はプログラミング教育支援事業の一部をプログラボに委託している。カリキュラムの作成や教師への研修、さらには教室で子どもたちに教えるといったことにも対応しているという。

「それぞれの学校で取り組むにはご負担が大きいでしょうから、私たちのような外部の力をうまく使っていただけたらと思います(勝山氏)」

ロボットに限らず、一部のプログラミング教室では子どもから大人まで簡単に扱える学習コンテンツを提供しているところもある。「時間がない」「スキルがない」「機材がない」など課題は学校ごとに異なるため、解決策も一つではない。現場が抱える悩みに最適解をアドバイスしてくれる外部業者の力を借りることも、プログラミング教育を軌道に乗せる一手となるだろう。

 

≫(前号) 東京メトロも参入!鉄道事業者がプログラミング教室を拡大する理由

 

▼教室DATA

プログラボ

https://www.proglab.education/

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